
「適材適所」は、木の世界から生まれた知恵
「適材適所(てきざいてきしょ)」とは、その人や物の特性を見極めて、ふさわしい場所に使うこと。人材配置などのビジネス用語として知られていますが、実はこの考え方は、古くから木材を扱う職人の間で自然に受け継がれてきたものでもあります。
木材はすべて同じではありません。
真っすぐな木もあれば、節のある木、曲がった木、年輪の詰まった木もある。そうした一本一本の「クセ」や「個性」を見抜き、最も力を発揮できる場所を見つけてあげる。それが、職人にとっての「適材適所」です。
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曲がった松は、梁にこそふさわしい
昔、ある大工の先輩にこんなことを言われました。
「おまえはちょっとひねくれてるな。でもな、松ってのは、ひねくれてるくらいが梁にちょうどええねん。」
その言葉が、今でも忘れられません。
まっすぐじゃない松でも、ひねくれているからこそ、梁として家を支える力がある。
その言葉を聞いて、自分自身も「ひねくれていても、どこかで役に立てる場所がある」と思えるようになりました。
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リフォームに生きる「適材適所」の目
私たち松本工務店は、新築よりもリフォームに力を入れています。
なぜなら、リフォームこそ「適材適所」の目利きが活きる仕事だからです。
• 曲がった梁をあえて見せ場にするか?
• 節のある木をアクセントとして活かすか?
• 古い材を残すか、新しい木に差し替えるか?
その判断には、素材のクセを見抜く感性と、どこで一番輝くかを知っている経験が欠かせません。
それが職人にとっての「適材適所」なのです。
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人も木も「クセ」は魅力になる
木材と同じように、人にもクセがあります。まっすぐじゃない性格、ちょっと変わった考え方。でも、それも使い方ひとつで大きな力になるのだと思います。
「適材適所」とは、単に効率よく配置することではなく、素材や人の個性を活かしきること。
それは、家づくりにも、人との関わりにも共通する、深く温かい知恵です。
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最後に
これからも私たちは、「まっすぐな木」だけでなく、「ひねくれた木」や「クセのある木」の魅力も見つけていける工務店でありたいと思っています。
木と向き合い、人と向き合い、そして家と向き合いながら、丁寧なものづくりを続けていきます。



